ギュスターヴ・モロー展に行ってきました。
サロメと宿命の女たちというサブタイトル通り、モローが執着していたサロメ、そして妖艶なファムファタールたちが描かれた作品が中心。神話や聖書がモチーフになってるのでファンタジー好きな私は大歓喜です。
サロメに関しては、サロメからヨハネへの感情はどうなってるの?という疑問がずっとありました。
母に頼まれたからと言って、ヨハネの首を切るなんて、しかもその首と対峙するなんて、気まずすぎない?(気まずいとかそういう問題でもない)
"出現"のサロメとヨハネの視線はあまりに緊張感があって、しかもヨハネ血が滴ってるから、ほんと怖いんですよ。それに対してのサロメの表情が、覚悟決まってるというか、キマッてるというか。いまいち感情がわかんないけど恐ろしさはビンビン伝わりました。
私がサロメの物語として納得できたのは、ワイルドの戯曲の方でした。ヨハネに恋したサロメが、キスを拒まれてヨハネを恨み、殺してもらって生首のヨハネにキスをするっていう。
こうなると出現のときの2人の視線が、少なくともサロメ側はもっと恍惚とした表情だろうしなあ。でもこれじゃあファムファタール、男を狂わせる女じゃなく、恋に狂わされた女になっちゃいますね。
サロメについてもいっぱい妄想が広かったのですが、特に私のツボをついたのがこの絵、"レダ"です。
ゼウスが恋した女性レダのために白鳥になって会いに行く神話。白鳥と交わって卵を産むなんてすごいロマンチック!って思ってしまったんですがどうですか?そうでもない?
モローの描くゼウスは、他にもゼウスとエウロペがありました。これはエウロペに会いにゼウスは白い牡牛になるんです。連れ去るために牡牛になるなんて、やっぱりロマンチストですよね?
クリムトのダナエという絵も私はすごく好きなんですが、こちらではゼウスは金色の雨になってダナエと結ばれます。もうなんでもありなゼウス。
せっかくなので私だったらゼウスにどんな姿で迎えに来て欲しいか考えてみました。
・蛇
蛇は好きで首に巻いたこともあるのですが、急に現れると多分かなりビビる。動物では一番セクシーな気がするので、性的に愛せそう。
・ペガサス
絶対乗っちゃうもん。楽園に連れて行ってほしい。見た目が美しいので周りに自慢しまくる。
・雲
筋斗雲サイズで来てくれたら大歓迎しちゃう。淡いピンクとかラベンダー色だとインテリアにもなるし。ゼウスはそこらへんの好みも分かってくれるはず。
あんまり思いつきませんでした。
モローに話を戻します。他にも下半身が魚のセイレーン、獅子の肉体のスフィンクスと、不吉に美しい半獣の女性たち。妖しい魅力は運命がどうなろうとかまわないと思わせるに充分です。
私あと神話の生物だとメドゥーサが好きなんです。髪に蛇がいっぱいいるなんて、本当に羨ましい。
あと角にも執着心がある。
英語のスラングで、ムラムラするとか性的に興奮することを、horney(ホーニー)というらしいんです。ホーンは角のことで、男の人の体の状況を表してるんですね。
桐島洋子さんの本で、「私、いま、なにやらツノっぽいの」という文がすっごく可愛くて。
私もツノっぽくなりたい。いや、角がほしい!!
と、モローの一角獣を見て思い出しました。一角獣は純潔の乙女にしかなつかないので、こんな見当違いの感想を持つ私にはなついてくれないだろうなあ。ごめんね。。
ずっとこんな妄想を繰り広げてたのでぐったり疲れました。楽しかったなあ。無事にポストカードとファイルをゲットしたので終わってルンルンで美術館のカフェでサンドイッチ食べました。バゲッドのバターが甘く香って、厚い卵焼きが美味しくて、良い日であった。